まえがき

ADSLブリッジモデムにブロードバンドルータを接続した状態で、ADSLモデムのメンテナンスができるようにする方法を紹介します。

なぜモデムにアクセスできないのか?

通常ブロードバンドルータを使用している場合、ルータの手前(LAN)まではTCP/IPプロトコルによって通信しています。
これに対してルータの向こう(WAN)側はPPPoEというプロトコルで通信しています。
モデムの設定画面を表示する場合、TCP/IPプロトコルを前提としていますので、TCP/IP→PPPoEの変換がかかった時点でモデムからは「意味不明のプロトコル」ということで見えなくなってしまいます。
もうひとつはIPアドレスのサブネットが違うのが原因で、ブロードバンドルータのWAN側にはプロバイダから取得したグローバルIPアドレスが振られています。これに対してモデムは通常192.168.xx.xxというプライベートIPアドレスですので、モデムまで達することができなくなっています。
以上2点を踏まえ、ブロードバンドルータを接続した状態でモデムをアクセスしたい場合は、「TCP/IPプロトコルのままで、かつモデムと同じプライベートIPアドレスによって通信が到達する」ように配線・設定を見直す必要があるわけです。

(2004/02/02)
この方法はcorega BAR SW-4P HG/Planex BRL-04FB/Planex BRL-04FMXは私の方で動作確認しました。
全部のルータで試したわけではありませんので、その点はご留意願います。

(2004/01/07)
色々な情報や報告によると、メルコなど一部のルータでは普通の接続でもモデムアクセスができるようです。

設定の確認と変更

配線を変更する前に、各機器が以下の設定になっていることを確認し、設定を変更してから配線してください。
<メモ>
IPアドレスが192.168.0.xx系の場合は本文内の記述をすべて192.168.0.xxに読み替えてください。

配線の変更

最近のブロードバンドルータは、スイッチングHUBが4ポートついたものが主流になっています。もしも接続する機器の数が3台以上の場合は、ポートが不足してしまいますので、左図のとおりスイッチングHUBを1台増設します。
配線図
接続するPCが2台以下の場合は、増設HUBを使わずに、左図の配線でOKです。
配線図

使用するケーブルについて

追加スイッチングHUBまたはブロードバンドルータにクロス・ストレート自動判別機能が付いている場合は、全部ストレートケーブルで特に意識する必要はありません。
以下の説明は、追加HUBにUP-LINKポートが付いていない、または、使わない場合のケーブル選択の一例です。
ただし、使っているモデムやHUB、ルータの仕様と、違っていた場合は、各自の仕様を優先させてください。

その他

モデムによっては、メンテナンスモードにした場合、モデム自身がDHCPサーバになってしまう場合があります。
この場合、同一ネットワーク内に複数のDHCPサーバが存在することになってしまいますので、以下の方法を取る必要があります。
ただし、モデムによっては自身でリースしたIPアドレスでないとメンテナンスを受け付けないものもあるようです。
フレッツのMS2モデムの場合は、以下の設定を試して見てください。
または、上記配線を全く使用せず、ブロードバンドルータのWAN側設定を、一時的にDHCPクライアントに変更することでも回避できますが、DHCPクライアントに設定した時点で外部のPPPoE通信はできなくなります。

動作の説明

通常PPPoEによる通信の場合

PCから出たTCP/IPパケットは、192.168.1.2のゲートウェイに入り、PPPoE加工とNAT変換されたのち、WAN側から出力。スイッチングHUB→モデムを経由してADSLラインに送信されます(受信はこの逆のルート)。
このとき、増設したHUBとブロードバンドルータのHUBがスイッチングでなかった場合、LAN側に流入するTCP/IPパケットとWAN側から送出されるPPPoEパケットが必ず同期するため、パケットの衝突(コリジョン)が必ず発生し、通信が不能になってしまいます。以上の理由から、スイッチングタイプのHUBを使用する必要があるのです。
配線図

モデムアクセス時の場合

PCから出たTCP/IPパケットはルータLAN側のスイッチングHUBに入り、増設したスイッチングHUBを経由してモデムに到達(受信はこの逆のルート)します。
配線図