まえがき

ここでは、ネットワークを構築するときのポイントについて紹介させていただきます。
この記事は046@Yahoo!BB様との共同公開です。

ポイント:渋滞するところを改善する

ネットワークは早いほうがよいに決まっていますが、効果的に設計しないと全く無駄な投資になってしまいます。
ネットワーク設計のポイントを一言でいうと「トラフィックの集中する場所を見つけ出して効果的に強化すること」です。
末端部分をどんなに強化してもトラフィックが集中する場所が弱いとほとんど効果は出ません。
また強化したことで、他の部分にネックが移る場合がありますので、常に全体のバランスを見ながら設計・強化することが大切です。

10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-Tどれ?

現在、ツイストペアケーブルを使用したネットワークには以下の3種類があります。
下の表は各ネットワークと通信可能速度、使用可能なケーブル仕様です。
高速なネットワークに移行した場合、既存のネットワーク構成によってはケーブルを交換しなければいけない場合があります。

規格名 通信速度 ケーブル仕様
10BASE-T 10Mbpsまで カテゴリ3ツイストペアケーブル以上
100BASE-T 100Mbpsまで カテゴリ3ツイストペアケーブル以上
100BASE-TX 100Mbpsまで カテゴリ5ツイストペアケーブル以上
1000BASE-T 1000Mbpsまで エンハンスド・カテゴリ5ツイストペアケーブル以上

10BASE-Tはそろそろ陳腐化してきました。
100BASE-Tは最近は全く使われていません。
現在、広く一般的に使われているのは100BASE-TXです。
最近は100BASE-TXの10倍の性能を持った1000BASE-Tも一般化し始めています。

各ケーブルには上位互換があります。
例えば、10BASE-Tのネットワークでカテゴリ6のケーブルを使う分には問題はありませんが、逆に100BASE-TXのネットワークでカテゴリ3のケーブルを使用することはできません。

HUBとは?

ネットワークに機器を接続するための機械としてHUBがあります。
HUBは8ピンのモジュラージャックが沢山くっついたような外見をしています。
一見電話ケーブルのモジュラージャックみたいですが、電話のモジュラージャックは6ピンです。

ギガビットスイッチングHUB

HUBは大きく「リピータHUB」と「スイッチングHUB」に分けられます。

リピータHUB
リピータHUBは糸電話みたいな構造になっています。送信されたデータはすべてのポートに伝えられ、PC側で「自分に関係があるデータか?」をチェックして、データを処理するか破棄するかを決めます。
スイッチングHUB
スイッチングHUBは電話交換機のような構造になっています。
スイッチングHUBは各ポートに接続されている機器のMACアドレスを記憶しておいて、それが存在するポートに限定してデータを送信するようになっています。
また、スイッチングHUBは上位互換をもっていて、上位のHUBは下位の通信を混在して使用することができます(一部機種を除く)。

ここではスイッチングHUBを使うことを前提に記載しています。

【MACアドレスとは?】
ネットワーク内で送受信に使用される機器には12桁の番号が振られていて、これをMACアドレスといいます。MACアドレスは機器ごとに固有であり、世界中で一意の番号になっています。

ipconfig /allの結果

ケース1:インターネットをメインに使う

まず、以下のケース考えて見ましょう。
配線1
インターネットは100Mbpsで接続されている。
各PCはインターネットでの使用がメインである。
ファイル共有などPC間の通信はない。

この場合、HUBは10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-Tのうちのどれが有利でしょうか?
インターネットからの接続が100Mbpsということで、まずは10BASE-Tは除外になりますね。
次に100BASE-TXか?それとも1000BASE-Tか?ということになります。
1000BASE-Tは100BASE-TXの機能を包含しているので、1000BASE-Tでもよいと思うかもしれません。

インターネットへのラインが接続されているポート1は100BASE-Tでしかリンクしない。
ポート2〜4は使っているLANカードが1000BASE-Tに対応していれば1000Mbpsでリンクする。

でも、せっかく1000BASE-Tでリンクしても、所詮インターネットに出て行くところで100Mbpsに落ちてしまいます。
結果的にはポート2〜4も100Mbps以上で通信することはありえません。
このケースでは100BASE-TXのスイッチングHUBでも十分といえます。
配線1−1
このケースではポート1が「トラフィックが集中する場所」になります。
3台のPCが全く同じ流量で同時に送受信をした場合、ポート1のトラフィックが3分割される関係でポート2〜4に割り当てられる帯域は計算上33Mbpsになりますが、実際はこんなことは起こらないので、100BASE-TXのHUBでも十分な帯域を確保することができます。

ケース2:ファイル共有とインターネットを使う

次に以下のケースを考えて見ましょう。
配線2
インターネットは100Mbpsで接続されている。
各PCはインターネットで使用している。
サーバとの間でファイル共有も使用している。

このケースでは「トラフィックが集中する場所」は、”ポート1”、”ポート4”の2ケ所になりますので、ちょっと複雑です。
まず、「インターネット」と「ファイル共有」でどちらに優先順位をつけるかを判断します。

インターネットを優先する場合
上記ケース1と同じく100BASE-TXのスイッチングHUBで十分。
ファイル共有を優先する場合
少なくともポート4(=サーバ)は1000BASE-Tによる接続を検討する。

各PCが同時にサーバに対してアクセスを始めた場合、ポート4が100BASE-TXだと、各PCに割り振られる帯域は計算上50Mbps(PCが2台の場合)にダウンしてしまいます。
実際はここまで落ちることはないのですが、接続されるPCの台数が増加すると顕著になる場合があります。
配線2−1
各PCは100BASE-TXのまま、ポート4を単に1000BASE-Tにするだけでも各PCには100M近い帯域を確保することができますので、サーバアクセスのパフォーマンスが大幅に改善されます。
各PCも含めて全て1000BASE-Tで接続すれば、もっと改善することができますが、LANカードの交換にかかる費用などを総合的に判断する必要があります。

ケース3:HUBがカスケード接続されている

次に以下のケースを考えて見ましょう。

配線3
インターネットは100Mbpsで接続されている。
接続する機器の台数が多いためカスケード接続している
各PCはインターネットで使用している。
サーバとの間でファイル共有も使用している。

この場合、「トラフィックが集中する場所」は、”1段目のスイッチングHUBの全ポート”、”2段目スイッチングHUBのポート1”になります。
その中でも特に集中するところは1段目のスイッチングHUBのポート1とポート2です。
ただし、インターネットは100Mbpsで固定ですので、この部分を強化することは困難です。
このケースでは以下の優先順位で順次強化していくことになります。

1段目スイッチングHUBのポート2を1000BASE-Tに強化する。
カスケードしているスイッチングHUBの各ポートを1000BASE-Tに強化する。

配線3−1
ケース2と同様に、各PCも含めて全て1000BASE-Tで接続すれば、もっと改善することができますが、LANカードの交換にかかる費用などを総合的に判断する必要があります。

まとめ

以上の説明はかなり単純な構成で、実際のネットワークはもっと複雑ですが、基本はすべて同じです。
色々な構成を考えてみて、それの改善を探ってみるのもよいかもしれません。